研究紹介

  • 担当教員: 潮俊光 教授  [E-mail]
  • サイバー物理システムへの応用

    図1に示すように物理システムと情報システムが密に結合したシステムをサイバー物理システム(cyber-physical system、以下CPSと略記) と言います。近年、欧米を中心に多額の研究費が投じられている研究分野です。CPSという枠組みを用いると、組込み制御システムとセンサネットワークを統合的に扱うことが可能となり、高度情報ネットワークシステムの構築に欠かせない技術として期待されています。本研究室では、システム科学の立場からサイバー物理システムの解析・設計・制御問題を扱っています。主に次の3つの研究課題に取り組んでいます。

    サイバー物理システムへの応用

    (1)情報システムにおける適応型最適リソース配分

    情報システムにおける適応型最適リソース配分

    複数の制御タスクを実行する場合には、マルチタスクリアルタイムシステムを構成してジョブの実行を管理することになります。一般に組込み制御システムで用いられる情報システムのリソースには厳しい制約があるために、システム全体の性能が最適になるようにリソースを各制御タスクに割り当てる手法が必要不可欠となります。一方、最近、ジョブの実行結果の性能を表す指標として、QoS(Quality of Service)という言葉が良く使われるようになってきました。本研究室では、マルチタスクリアルタイムシステムにおいて、ジョブのQoSが同じ値になるという制約のもとでの最適公平化リソース配分法を提案しています。本手法は、図2に示すようなQoS適応制御器を用いたフィードバック制御機構を用いており、その特徴は、最適なリソース配分量をオンラインで求める点にあり、制御タスク数の変化にも十分に対応できます。さらに、システム制御理論を用いて、QoS適応制御器の設計パラメータを適切に選べばその最適配分量に収束させられることを証明しました。

    また、情報システムにおいては消費電力をできる限り抑えることは温暖化対策にもつながる重要な課題となっています。実行中にプロセッサ周波数を変化させることができるDVS方式のマイクロプロセッサでは、プロセッサ周波数を低く抑えると消費電力を削減できますが、ジョブのQoSが劣化してしまいます。低消費電力化とQoS最適化のトレードオフを考慮した最適なプロセッサ周波数設定とリソース配分を行うパワーアウェアなリソース配分法も提案しています。本手法はシステム最適化理論を応用しています。

    (2)制御器とスケジューリングの統合的設計論

    一般に制御アルゴリズムの設計とそれを実行するリアルタイムシステムの設計とを統合的に行うことは、限られたリソースを最大限有効に利用してシステム全体の性能を最適化するために重要です。しかし、それらで用いられる数学的手法はかなり異なっており、それらを統合化することは、CPS研究の最重要研究課題の一つと言えます。本研究室では、リリースされたジョブがスケジューリング可能になるという制約条件のもとで、システムの安定性を保証しつつ、制御性能が最適になるようなジョブのスキップ法を提案しています。

    CPSを扱える研究者・エンジニアの育成も欧米では既に始まっており、本研究室でもCPS研究に必要となる様々な理論を有機的に学生に教育することにも今後積極的に取り組んでいくつもりです。

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