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にっき

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2012-04-17 M本の似非エッセイ(第3回)

_ 星新一について

僕は自他ともに認める(?)小説好きである。読むだけではなく、書くのも好きだ。

僕が今のところ最も尊敬する三人の作家は、星新一、村上春樹、そして太宰治である。星新一は中学生時代に、村上春樹は高校生時代に、太宰治は大学に入ってからハマった。

僕からすれば全員個性的で素晴らしい作家であるが、その中でも特に星新一氏は僕の中でとても重要な位置を占めている。なにせ彼に出会わなければ、おそらく僕は一生小説というものを(そもそも活字自体を)好きになることもなく、ただ単に面倒くさいテスト科目の一つとして、自分の人生からすぐさま排除していたと思われるからだ。

星新一氏はSFショートショートで有名である。ストーリーの一つ一つが非常に短く、オチも分かりやすく、小学生でも読めるものばかりだ。そして、彼の作品の本当にすごいところは、子どもが読んでも大人が読んでも面白いと思えるところにある。小説を実際書いてみると分かることだが、これは簡単なようでいて、実のところものすごく難しい。

実際、今までほとんど小説を読んだことがない大学の友人に、星新一氏の傑作集「ボッコちゃん」を読ませたことがあった。そして案の定、彼はそれを気に入ってくれた。もし面白くないと言われたらどうしようか、どう責任を取ろうか、切腹か、と内心びくびくしていたのだが、そんなことは単なる杞憂であった。

最後に、どうでもいい話だが、僕は高校時代、読書感想文でショートショートを書き、国語の先生を怒らせたことがある。だって仕方がないじゃないか。彼のショートショートの良さを伝えるためには、自分もそれに倣うしかないと、当時の僕はそう考えたのだ。

ああもう、没個性の何が楽しいのだろう。

しかるに読書感想文というものは、もっと自由であるべきだ。

_ 理想の子どもについて

僕は大学一回生から三回生まで、ずっと同じ塾で塾講師のバイトをしていた。個人指導と集団授業どちらも経験し、やっぱり自分は一人一人にちまちま教えるよりも、大勢の前で一気に喋る方が楽しいことを自覚した。

しかし、今回の話は個人指導の話である。

おまけにかなり重たい話である。

しかしどうしても書きたいから、書くことにする。

僕の担当する生徒に、ある小学五年生の男の子がいた。彼の名をA君としよう。A君はスポーツ万能で足が速く、小学生ながらにしてかなりの美形だった。ほとんど唯一の欠点は、算数が苦手だということだった。しかしながら、怠け癖がついた問題児というわけではない。宿題も忘れずきちんとこなしてくるし、人の目を見て話を聞いてくれるし、教え方さえ気をつければ飲み込みも悪くない。先生側からすれば、非常に教えやすい子だった。

ある日、授業ノルマが終わってさてどうしようかと思い、彼に世間話を振ったことがあった。すると、A君はその日学校であったことを話し始めた。

A君が仲良くしている男の子の一人に、軽度の知的障害を抱えた子がいた(その子をここではB君としよう)。その日、B君は同じクラスメイトのC君にいじめられ、その現場をA君は目撃した。A君はすぐさまC君の胸ぐらをつかみ、

「どうしてBをいじめるんや!」

と怒鳴った。その問いにC君はへらへらと笑って、

「だってこいつ、気持ち悪いんやもん。化け物やん」

と答えた。その言葉に激昂したA君は、C君にこう言い返した。

「そんなこと言うお前の方が化け物や! いいか? Bには本当の友達がおる。でもお前にはおるんか? お前、このまま中学生になったら、絶対友達おらんなるぞ! それでもいいんか!」

A君いわく、C君はクラスのいじめっ子グループの一員らしいが、誰かがいじめている子しかいじめることができない小心者であり、おまけに学区が少し離れているため、中学校に進学したら今のグループの子たちと離ればなれになってしまうらしかった。痛いところを突かれたのか、C君はそのまま黙ってしまい、泣きそうな顔をして席に戻っていったという。

僕はこの話を聞いて、一つ質問をしたくなった。

正直、かなり意地悪な質問だ。

しかしそれでも、A君がこの質問に対してどう答えるのか、僕は気になって仕方がなかったのだ。

「それじゃあ、もしそのC君が中学校で一人ぼっちになったら、A君はどうする?」

僕が投げかけたその質問に、A君はしばらく黙って考えていたが、やがて口を開いた。

「友達になってあげると思う」

「……どうして?」

「もし独りぼっちになったら、今まで自分がしてきたことを反省すると思うんやん。だから、許してあげると思う」

正直、それは僕の予想の斜め上を行く解答だった。

しかし、他のどんな答えよりも完璧な解答だった。

読者のみなさまには大変申し訳ないが、ここまで長々と書いておいて、これといった面白いオチなどない。この出来事以来、僕の理想の子ども像はA君であるという、本当にただそれだけの話である。



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